第10巻の作品ベストテン

第10巻には、実演価値の高いものが他の巻より多く収録されています。それらの価値をお伝えするために、ベストテンを紹介しようと思いましたが、困ったことになりました。ベストテンどころか、紹介したいパワフルな作品が20作以上あるのです。20作の現象を説明するわけにはいきませんので、あえてベストテンの紹介にとどめました。

1.インスタントデック (カーディニ)

相手に52 枚の中から好きなカードを言わせます。マジシャンはデックをカットして直ちにそのカードを現せる、という夢のようなデックです。

以前"Card Magic Video Lesson"のダウンロードリンクとして、0016番として紹介したビデオをダウンロードしてあれば、インスタントデックの演技を見ることができます。

その演技では、客の言ったカードをデックをカットして現すというのを何回も繰り替えすだけですが、このデックは他の現象に有効に応用することができます。いくつかの応用例を、"Card Magic Magazine"第1号に解説いたしました。

2.ポストイットの予言 (デヴィッド・ソロモン)

赤裏のジョーカーの表面に予言を書いたポストイットを貼ります。それを青裏のデックのトップに置き、相手に好きなところからカットして上半分を表向きに、裏向きの下半分の上に重ねさせます。ポストイットを貼った赤裏カードは、相手が自由にカットしたカードの上にくっつきます。

デックを広げてポストイットを貼ったカードと、その下の裏向きのカードを抜き出します。ポストイットをはがして、書かれている予言を見せます。そして裏向きのカードを表向きにすると、予言と一致しています。

3.ダブルメタモフォシス (加藤英夫)

第2巻に解説した、ラリー・ジェニングスの'ウェルオイルドリセット'は、現象は最高傑作レベルでしたが、余分なカードを使っている気配が感じられる点が弱点でした。このバージョンはノーマルカードでは実現できない、8枚しか使っていないことがはっきりわかる、クリーンな現象を実現しています。

よくノーマルカードで終わることを"エンディングクリーン"と言いますが、この作品こそ、ギャフカードを使用するからこそ、"エンディングクリーン"で終われるのです。

4.テルミースリータイムズ (アレックス・エルムズレイ)

マジシャンは後向きになります。相手が好きなところからデックをカットして、トップから3枚のカードを表向きに並べ、3枚のカードを読み上げますが、どれか1枚で嘘をつきます。マジシャンは嘘を見抜いて、嘘をついたカードが本当は何のカードであるかを当てます。

エルムズレイの原案では、サイ・ステビンススタックを使いますが、まったくランダムに並んでいるデックで演じられのを可能としたのが、スタックメモという新しい武器です。これを用いるとメモライズドスタックを使用するマジックも、記憶力を使わないで演じられるものもあります。

5.ジャンピングカード (加藤英夫)

選ばれたカードがデックに戻されたあと、候補カードとして10枚をカードケースに入れます。ケースの底をたたくと、1枚のカードが勢いよく飛び出します。それが選ばれたカードです。

6.ファンライジング (ジャック・カーペンター)

Googleで"Scarne's Dream"で検索をかけていただければ、このトリックをノーマルデックで演じている映像が先頭に出てきますので、ご覧になってください。

いかがですか。面白い現象でしょう。しかしこのやり方は、演技の最初にしか演じられません。デックを特殊な状態に保持してスタートしなくてはならないからです。こういうときに仕掛が助けてくれるのです。私は演技の途中で演じたり、デックをケースから取り出してこの現象を演じる方法を考えて解説いたしました。

7.4つの予言 (加藤英夫)

これは第3巻に解説した'3つの予言'のパワーアップバージョンです。このタイプの作品としては、サイモン・アロンソンの'シャフルボワード'やアルド・コロンビーニの'プレデックアビリティ'が有名ですが、それら全作品を吹き飛ばすほどの威力がこのバージョンにはあります。

これこそ天海師が言われた、原理と技法と仕掛の組合せで生まれる不思議の極地です。

デックをシャフルします。相手にシャフルさせてもかまいません。こんなことはノーマルデックではできません。それから相手に半分ぐらいカットさせ、一方を表向き、他方を裏向きでよくシャフルします。

裏表混ざったカードを8組に分け、相手が指定した4組をひっくり返してから、8組を集めます。つぎは4組に分け、相手が指定した2組をひっくり返してから4組を集めます。最後は2組に分け、相手が指定した方をひっくり返してから、2組を集めます。この操作の間に、シャフルしてもかまいません。

裏と表がまったくでたらめに混ざったことは、誰の目にも明らかです。

第1の予言には、“裏向きのカードが19 枚ある”と書かれています。数えると当たっています。

第2の予言には、“絵札が6枚ある”と書かれています。裏向きのカードの中から絵札を数えると、予言通り6枚あります。

第3の予言には、“偶数が9 枚ある”と書かれています。偶数を数えると、当たっています。

第4の予言には、“ 特殊な4 枚が最後に残る”と書かれています。残っているカードを表向きにすると、それらは4枚のAです。

8.オーダーオブキングス (加藤英夫)

デックを表向きに広げて混ざっていることを見せます。そしてリフルシャフルしてからまた広げて、全体が完全に混ざっていることをよく見せます。それからデックを2組にカットして、マジシャンと相手がそれぞれを2組のパイルにディールして分けます。4組を表向きに広げると、それぞれがマーク別にAからKまで順番にそろっています。

当作品の大勢の観客用バージョンを、"Card Magic Magazine"第1号で解説いたしました。

9.ハンドライティングオンザデック (ロバート・ウィックス)

ポール・ガートナーの'アンシャフルド'は、ファローシャフルでデックのサイドに文字が現れます。この作品では、最初からデックのサイドに読めないでたらめな記号のようなものが書かれていて、カードが選ばれたあと、デックを1回カットしただけで、一方のサイドには選ばれたカードのマーク、反対のサイドには選ばれたカードの数が現れます。

10.誕生日おめでとう (加藤英夫)

8枚のカードをテーブルに分散して置き、相手に好きな順に1枚ずつ指ささせ、その順番に8枚を重ねます。それから8枚をテーブルに順番に並べます。そして端から表向きにすると、カードの表に「誕、生、日、お、め、で、と、う」の文字が並んでいます。

これは誕生日お祝いマジックとして最適ですが、誕生日の人がいなくても、つぎのように演じることができます。

「つぎのマジックは、誕生日を祝うマジックですが、もしかして今日誕生日の人がいたら手を上げてください。いませんね。では今週誕生日の人はいますか。いませんか。今月誕生日の人は?おやっ1人だけですか。ではもっと幅を広げましょう。今年誕生日の人はいますか」と言うと、全員が大笑いしながら手を上げます。「では皆さんの誕生日を祝ってご覧にいれます」と言って演じます。

これは私が必ずいつもポケットに入れているものです。絶対に大受けします。皆さんにも活用していただきたいと思い、カードを制作して、第10巻とともに提供させていただきます。


第10巻をお読みいただき、あと10作品以上のパワフルなカードマジックを、ぜひレパートリーに加えてください。